2017年10月号(No.178)

轟 勝之

 人件費を開示しよう。理由は企業の社会的責任が以前にも増して重くなっている点だ。企業と各ステークホルダー(利害関係者)との結びつきは、有価証券報告書や決算短信の数字で明示される。

売り上げは消費者からの支持を表し、債権者への配分は元利払い、株主への配分は配当や自社株買いの金額をみればわかる。だが肝心の従業員への配分は大半の企業で全体像がつかめない。」

(日本経済新聞 2017年9月21日 「大機小機」より )

私共では現在業務改善に取り組んでいるとのことは既報にてお知らせしていますが、現実に成果が出始めています。理由の一つが、人件費の開示でした。

例えば、この業務を行うのに、いただく報酬(売上)は決まっていますが、そのコスト(人件費)は不明のままで、結果はまったく儲けにならない(場合によってはマイナス受注)の場合も多々ありました。グループ長自身は自分の給与が分かっているので時間計算はできますが、その部下の時給までは把握できていませんでした。

そこで、各グループのリーダーには、各職種の平均給与を明示し、その職種の者を使うと1時間当たりの時給を明示しました。

たったこれだけで前よりは業務の改善ができています。

このような原始的は方法すら行っていなかったのが現実ですが、実は多くの中小企業でも同じです。

飲食店でも原価率は30%平均(売上に対する食材費比率)といわれていますが、業界によっておおよその目安があるでしょう。

是非、一人あたりの時間コストを把握して、業務の改善に役立てて下さい。

参考までに一人当たり年間人件費は、

月給(総額)+賞与(年間合計)+社会保険料(会社負担分)+通勤費

+福利厚生費 +研修費 +退職金 +α です。

ですから、月給25万円で賞与・夏冬各1か月支給の会社(社保完備)であれば、一人当たり年間400万円超になると思います。