税理士法人とどろき会計事務所
金田 好正

 私はとどろき会計に入社する前、某大手酒造メーカーで営業をしていました。6年ほどその会社で働いていたのですが、私がいた頃にこの営業の考え方が変わってきました。入社当初、営業というと卸問屋や酒屋さんへ商品の提案を行っている社員がほとんど。ところが、ある日会社から突然『これからソリューション(提案型)営業を目指すように』とお達しがありました。ソリューション営業とは、お客様の課題を把握し、その解決策を提案していく営業スタイルとの事でした。今から考えると、そもそも営業とはそういう定義付けのほうがしっくりくると思います。したがって元からそのようなスタイルで営業をしている社員は「今さら・・・」という思いを抱き、会社を去っていきました。

私が転職を考えていた頃、この会社に新たな変化が出て来ました。それがコンサルティング営業です。コンサルタントとは本来【相談】という意味。お客様の相談に乗り、経営課題を浮き彫りにし、自社の商品を絡めたアプローチを行う営業スタイルです。

入社当初の営業の定義からコンサルティング営業まで。その時々で呼び名は変われども、現場で働く営業マンは混乱しながら各々既存の営業スタイルを継続していた気がします。結果、もともとコンサルティング(お客様からの相談を受け、その解決のため商品を提案していくスタイル)のような形で営業を進めていた社員の多くは会社を去る形になりました。

営業は数字と言う結果で評価されます。最も分かりやすく、それだけに厳しいものです。しかし大切なことはどちらを向いて仕事をするか、というスタンスです。そのためにはお客様の会社内容をきちんと理解する必要があります。おそらくこの考え方はわれわれ会計事務所で働く職員にとっても必要な感覚ではないかと思います。

営業の変遷をたどれば以下の通りです。つまり、以前は会社の課題は自分たちだけで解決できていた。それがある時自分たちだけでは解決できない問題が生じ、その問題を解決してくれる第3者が必要になった。さらに現在では会社の問題そのものがハッキリとはわからないけれど業績は芳しくない。だからそれを相談できる第3者が必要になった。そのような経緯を踏まえると、われわれもお客様から気軽に相談できる第3者として常にお客様の経営内容には耳と傾けていなければなりません。

会計事務所というと一昔前は『営業』とは無縁の業界でした。しかしながら、現在では会計事務所職員の仕事が営業そのものではないかと思ってしまうほどです。営業のことが何もわからなくても、まずはお客様のことを理解する。そして、良き相談相手になれるようであれば、これも営業の一つではないかと考えています。