税理士法人とどろき会計事務所
伊藤 将英
今回は、令和4年度の税制改正について中小企業関連で主な改正事項について確認していきたいと思います。
1.賃上げ促進税制について
安定的な経済成長に向けた企業の賃上げに対する優遇制度が設けられました。中小企業向け賃上げ促進税制では、一人一人の賃上げや雇用の確保によって給与総額を増加させる中小企業を支援するため、大幅な税額控除の適用が受けられることとなりました。具体的には雇用者全体の給与(給与等支給額)が前期比1.5%以上増加した場合には、その増加額の15%の税額控除をすることができます。また雇用者全体の給与(給与等支給額)が前期比2.5%以上増加した場合には、その増加額の30%の税額控除が可能となり、さらに教育訓練費等の人的投資額が前期比で10%以上増加させた場合には、さらに税額控除率が10%上乗せされます。結果、最大で税額控除率は40%まで引き上げられますが、控除の上限は法人税額等の20%となります。また、税額控除の対象となる給与等支給額は雇用保険の一般被保険者に限られず、賃上げだけでも活用できるようになり、以前よりも使いやすくなっております。この改正は令和4年4月から令和6年3月までの間に開始する各事業年度において適用されます。
2. 交際費課税、少額減価償却資産の特例措置の適用期限の延長について
法人が支出した交際費等は原則として損金に算入できないこととされていますが、特例として、中小法人については定額控除限度額800万円までの交際費等を全額損金算入することが可能となっております。中小法人にとっては、交際費等は事業活動に不可欠な経費であることを踏まえて、適用期限を令和5年度末まで2年間延長されることとなりました。
また、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、年合計300万円までを限度に、全額損金算入することが可能となっておりますが適用対象資産から、貸付け(主要な事業として行われるものは除く。)の用に供した資産が除かれることとなったため注意が必要となります。適用期限を令和5年度末まで2年間延長されることとなりました。
3. 改正電子帳簿保存法について
令和4年1月に施行された改正電子帳簿保存法について見直しがされました。同法では電子形式で受け取った帳簿を紙に印刷して保存することを禁止していますが、そのような形式で帳簿を管理している事業者の対応が進んでいないことが懸念されていたため、令和4年1月1日から令和5年12月31日の2年間については、同法に沿わない保存方法であっても要件違反とはみなさないとの経過措置が設けられました。
上記改正のほかにも消費税についてのインボイス制度の導入など開始時期が迫ってきている制度もございますので、詳細につきましては担当者に相談していただきご準備をお願いいたします。