税理士法人とどろき会計事務所

野曽木 尊之

 

    2022年の年始に国際政治学者であるイアン・ブレマー氏が主宰するユーラシアグループより、世界の10大リスクが発表されました。毎年恒例となっており、年始には各メディアに取り上げられていますので、ご存じの方も多いかと思います。経営でも同じかと思われますが、単月・単年度の業績に一喜一憂するのではなく、2~3年単位での中長期、さらには5年単位などの長期的な視点が必要だと思います。世界の情勢なんて関係ないかと思われるかもしれませんが、直近で誰もが思い浮かべる、アメリカでのサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン債権)の破綻による不景気は全世界に波及しました。今回の新型コロナ(COVID-19)のような突発的なことを想定することはできませんが、今あるリスク要因を経営の方向性に想定しいくのは必要かと思います。今年の世界の10大リスクは覚えているかと思いますが、ここ3年間の世界の10大リスクを載せてみましたので、世界情勢の動向を再確認して頂ければと思います。

2022年 2021年 2020年
中国のゼロコロナ政策の失敗 アメリカの分断 アメリカ大統領選挙
巨大IT企業の影響が強まる世界 コロナ問題長期化 米中テクノロジー企業間競争
米国中間選挙 グリーン化 米中関係
中国の国内回帰 米中緊張関係の波及 多国籍企業の経営首脳
ロシア データ競争 インド首相(モディ)の政策
イラン サイバーリスク 欧州が引き起こす摩擦
環境対策は2歩前進、1歩後退 トルコ 気候変動
世界の力の空白地帯 産油国にとって厳しい年に 中東
文化戦争に敗れる企業 ドイツのメルケル首相退陣 中南米での不満
トルコ 中南米が抱える問題 トルコの挑発

 

    輸出入などの貿易業をされている方は、世界情勢が売上に直結しますので、常に気にかけているかと思いますが、ITの普及によって全世界が繋がった現在では、日本国内でしか仕事をしていないと思うかもしれませんが、どこかで海外とは繋がっているという認識だけは忘れないで頂きたいと思います。インバウンドの壊滅による飲食、宿泊、旅客業などは、この新型コロナ不況によって、その影響については身をもって感じているかと思います。

 

    税務に関しても毎年、年末年始辺りに税制改正大綱が発表され、その内容による今後の税務対策を練る必要があります。昨年話題になりました、贈与税と相続税の一体課税は、今回の改正からは外れました。内容としては、年間110万円までの贈与は非課税とされていたのが、相続時に今までの贈与分(暦年贈与)を相続税計算時に加算されるのではないかという改正でした。この改正がいつ施行されるのか未定ですが、生前贈与のバリエーションが変わってきますので、これから贈与を考えている場合は、事前に相談していただけますと幸いです。