2022年3月号(No.231)

紙の約束手形廃止の方向へ

   2026年に手形交換所での約束手形の廃止を検討しているとの記事(日本経済新聞2022年2月21日朝刊)がありました。2021年の取扱高は、5年前に比べて約70%減少したとのことです。また、2024年までに決済期限が60日以上の約束手形を規制する方針だそうです。

 

 約束手形は、中小企業にとっては資金繰り悪化の要因でもあります。仕事をしてから現金化するまでに半年以上かかることもざらで、その間銀行からの借り入れに頼るようになります。(給与などは毎月支払いが必要です。)また、受取った手形を銀行で割ってもらいますが、信用力がない企業からの手形は割ってもらえなかったり、割引料が高かったりと企業経営を圧迫していました。(いわば、銀行次第で会社の命運が左右される。)

 

 昔は、どの業種も小切手や約束手形がありました。昔の決算書をみると、受取手形、割引手形、支払手形が大きなウエイトを占めていました。ですから、会社が倒産するとその手形を受け取っていた取引会社も連鎖倒産で潰れる場合も多々ありました。(手形取引の会社は資金繰り上、決済も手形取引になります。手形を割っていれば、その手形を買い戻す資金も必要です。銀行への借入金返済も必要です。ですから、会社が一社倒産すると、同時に数社の連鎖倒産がおきるのです。)手形取引は、今では建設業など一部を除いてあまり見なくなりました。

 

 小切手や約束手形を発行するために、当座預金口座を開設する必要がありましたが、新設法人などでは当座預金口座は先ずありません。ですから、小切手も約束手形もありません。ネットバンクの開設が主流です。ネットバンクは口座の開設も簡単ですし、振込料が安い(110円)し、振込口座の名前もその都度変更できるので、使い勝手が凄く良いです。

    私共の報酬支払は、昔は、現金、小切手、約束手形が多かったです。現在は現金、小切手が若干で、振込、口座引落が、99%超となっています。

 

 ※約束手形は利用していないが、決済期間が長い会社は結構あります。でも私は長くても締め後60日以内(2か月)ではないかと思います。この基準、私共の多くのお客様での基準でもあります。60日超の場合には見直しが必要です。