Q. 事業承継の流れを教えてください。

以下の手順で進めていきます。

1.検討段階

医療法人の事業承継については、「親族内承継」「第三者承継」があります。
「第三者承継」については、専門家の助けなしで進めることは困難のため、医師会・顧問税理士・弁護士等に協力依頼を求めることが重要になります。
承継が完了するまでに、通常半年から1年以上の年月を要する為、早めに行動する事が必要です。
事業承継に係る秘密情報が外部に漏洩しないよう、M&Aアドバイザーと連携し、譲渡条件・譲受候補先の選定を行います。

2.実行段階

専門家の助けを受けながら、譲受候補先へ以下の手順で進めていきます。

①打診

譲受候補先が、承継に対して関心があるかの確認を行います。
確認方法は、譲り渡す病医院の情報を簡易的にまとめた「匿名シート」を用いて進めていきます。
譲渡者の名称が特定されないよう細心の注意を払う事が必要になります。

②接触

譲受候補先が、打診時に使用した「匿名シート」に関心を示せば、譲渡者は譲受候補先と接触し、承継を進めていくことになります。
まずは譲受候補先に譲渡者の名称を伝え、譲受候補先と譲渡者との間に「秘密保持契約」を締結し、情報開示を行います。
その後、譲受候補先が一つに絞られれば、譲渡に関する基本的な条件を記載した「基本合意書」を譲渡者と譲受者との間に締結します。

③関係者との事前調整

承継にあたり、病医院関係者との調整が上手くまとまらないと、承継自体の実行が困難になることも考えられます。
関係者とは、主に以下が該当します。

  • 行政
    承継の際、病医院の廃止や開設・定款変更等が必要になりますが、手続先である各都道府県、所轄保健所等で画一的なルールが定められていない為、事前にどのような対応を取るのかの確認が必要です。
  • 従業員
    勤務する従業員は、承継後は新しい経営者の下で働くことになりますので、承継後離職が起こらないよう、労働条件などの従業員への丁寧な説明を行う事が必要です。
  • 取引先
    想定される主な取引先として、医薬品等の仕入業者・金融機関・不動産賃貸人等が挙げられます。それぞれの取引先ついて、承継にあたり、確認が必要になります。

④最終締結まで

基本合意書」にて、双方から承継に関する条件面について確認が取れた後は、譲受者によるデューデリジェンス(※)が行われます。
そして、最終的に法的拘束力がある「最終契約書」を作成し、 承継を実行することとなります。

※デューデリジェンス(以下、DDと略します)とは
譲受側が承継する病医院の価値やリスク、その他の情報を把握するために実施する詳細調査をいいます。
DDには、「財務・税務DD」・「ビジネスDD」・「人事労務DD」・「法務DD」などがあり、それぞれについて承継アドバイザーとは別に外部専門家に委託することが一般的です。

3.実行後

譲渡側については、以下の手続きが必要になります。

・診療所廃止届→保健所に提出

・保険医療機関廃止届→地方厚生局の都道府県事務所に提出


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