藤井一平

 令和4年8月1日に国税庁からパブリックコメントの募集の案内が発表されました。パブリックコメントとは法令の改正案について、一般の意見を募集するというものでありますが、一般の意見を募集するといっても実際としてはそのまま適用されるのがほとんどとなっております。

 今回対象になったのは、年間300万円までの副収入は「事業所得」ではなく、「雑所得」として取り扱いをするとのことでした。これがどのような影響があるかと言えば、サラリーマンとして収入がある方が副業として収入を得ていた場合、今までは「事業所得」として確定申告をすることで青色申告特別控除や他の所得(不動産、事業、山林、譲渡)と相殺して税金を減額したり、損失を3年間繰り越すことが出来たのですが、「雑所得」になるとこれらのことが出来なくなります。

 そもそも「所得」とは10種類(給与・事業・利子・配当・譲渡・不動産・一時・退職・山林・雑)ありますが、青色申告できるのは「事業」「不動産」「山林」のみとなりますので、300万円を超えない所得が「雑所得」となると青色申告が出来なくなることから、上記のような優遇処置が受けられなくなります。

 なお、今回対象になるのは確定申告の際に事業所得で申告をしていた分で300万円までの収入が対象となり、不動産や山林で申告している分はそのまま、「不動産所得」「山林所得」となります。

 しかし、なぜこのような改正案が出てきたかと言えば、わざと赤字を出してほかの所得の税金を「節税」という名のもとに、不当に減額をするという行為が増えてきたということで、そのような行為に対しての対策となります。

 なお、今回の改正案については令和4年1月以降の所得税に関して遡って適用されるので、来年の3月15日の確定申告から変わりますので注意が必要です。

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