税理士法人とどろき会計事務所
飯田 敏久

 最近読んだ新聞の記事にこんな記事がありました。
居酒屋やファストフ-ドが苦戦する中、ファミリ-レストランが復調しています。「デニ-ズ」は3月のメニュ-刷新で高価格帯を充実させたことにより、売上高を伸ばしているそうです。原動力のひとつは少し高めのメニュ-の成功です。味に満足すれば、それなりの価格でも構わないという消費者の需要があったそうです。
例を挙げれば、国産の野菜に切り替えたサラダが、3割高い価格設定でも注文は数倍に増え、ハンバ-グに関しても、牛肉100%でソ-スにこだわった1,000円前後のメニュ-が好調なようです。以前は1,000円を超えるメニュ-は売れなかったようですが、今は支持されるようになっています。価格を上げてでも、味や質をしっかり高めたほうが顧客の反応が良くなっています。

ファミレスを含め質に対する消費者の要望は上がっています。メニュ-の見直しだけでなく、丁寧な接客などの改善効果も加わり、商品やサ-ビスに対する、「ここまでお金を出しても良い」という価格帯の水準は上がってきています。
新しい魅力の出せない店やチェ-ンは来店客数も支払額も下がったままです。
私もそうですが、これまでは価格設定に対する間違った思い込みがありました。自分が身を置いている業界は価格競争が激しいため、こうした他社と競うには価格が高いと駄目だと勘違いしている方が多いのではないでしょうか。自分で「そんな需要はないだろう」と勝手に判断していただけかもしれません。

「デニ-ズ」の理想の姿は、「身近なファミレスが高級レストランに近い質のメニュ-を2~3割安く提供する」ことだそうです。競合の視点を変えてみれば、高めのメニュ-も手頃な価格に映ります。
この先例は、高級ス-パ-「成城石井」にあります。
成城石井においては、良質のワインやチ-ズの品揃えを充実し、デパ地下からの客の取り込みに成功しました。これが競合の視点を変えるということです。

私も含め、どうしても自分の業界という狭い範囲で物事を考えがちです。自分の会社の売りは何かを見直し、価格設定が妥当であるかについても、もう一度見直してはいかがでしょか。東京オリンピックに向け景気が良くなることが予想されています。もう少し広い視点から自分の仕事を見直し、この大きな波に一緒に乗りましょう。