税理士法人とどろき会計事務所

新居 義太郎

 企業型確定拠出年金(以下企業型DC)という言葉が耳目に触れる機会が増えているように思います。企業型DCについて、『個人型確定拠出年金(以下iDeCo)と似たようなもの』という認識の方も多いように思います(恥ずかしながら私はそう考えておりました)。ただ、実際に導入された方等のお話を伺うとiDeCoに比べ以下のようなメリットがあるようです。

① 拠出上限

 iDecoの上限が月額2.3万円に対し、企業型DCは月額5.5万円です。年間38.4万円多く拠出できるため、その分資産運用効果・税制効果も大きくなります。

➁ 社会保険料の軽減

 iDeCoは手元のお金を拠出し、年末調整や確定申告で掛金分の控除を受け所得税や住民税の金額を抑えることができます。企業型DCは給与の一部を掛金とする選択制と呼ばれる手続きを取るケースが多く、この場合掛金を差し引いた給与額に対し社会保険料や所得税が計算されます。二等級以上変動した場合は随時改定の対象となり、社会保険料が下がる可能性があります。

③ 口座管理料の負担

 iDeCoは加入者個人が負担する口座管理料ですが、企業型DCでは原則会社(事業主)の負担となります。金額は年間数千円とはいえ、何十年も継続することを考えると従業員にとって有難いものになるのではないでしょうか。

 メリットは上記以外にもありますが、確定拠出年金は拠出した掛金をもって、加入者自身で投資銘柄を選び、資産運用を行います。ここで会社に求められるのは従業員へのお金の教育です。資産運用もですが、社会保険や公的年金、税金についての理解を深めることが自助努力での資産形成を為す、お金の面で自立した従業員の育成に繋がると考えます。2019年に話題になった老後の生活資金が2,000万円不足するとの予測や、若い方の公的年金への不安・期待の薄さを鑑みても、会社が福利厚生の一環として取り組む価値はあるのではないでしょうか。