税理士法人とどろき会計事務所 野曽木 尊之

 ここ数年、人口減少による生産年齢人口(15~64歳人口)の減少と失業率低下による完全雇用状態が続いているため、人手不足に悩む企業が増えているという話をよく聞くようになりました。この人手不足を解消するため、政府は移民を増やして生産年齢人口を増やそうという話しも聞かれますが、本当に問題はそれだけなのでしょうか。

 

 IMF(国際通貨基金)のデータでは、日本以上に人口が減少している国でも日本以上に経済成長している国があるというのです。人口が減少しているのに経済成長ができるという話は今まで聞いたことがないので、本当なのかなと思いました。2000年以降、人口減少が激しいリトアニア、ラトビア、ジョージアと日本の生産年齢人口と名目GDPを2017年と比べてみると以下の通りであると聞くと驚きました。

 

 生産年齢人口 日本(12%減)、リトアニア(21%減)

        ラトビア(19%減)、ジョージア(15%減)

 名目GDP  日本(1倍)、リトアニア(4.1倍)

        ラトビア(3.82倍)、ジョージア(4.96倍) 

 

 日本は先進国だから経済成長しなくても仕方がないが、上記の国は新興国なので経済成長するのは当たり前なのではと思いました。過去20年間で経済成長していない先進国は日本だけで、アメリカ・カナダは2.5倍、イギリスは2倍、フランス・イタリア・ドイツといった国でも1.5倍の経済成長率を出していると聞くと、日本だけが経済成長していないというのには驚かされます。日本は他の先進諸国に比べ、投資と生産性向上が足りなかったからなのかもしれません。資本主義の経済モデルでは、経済成長には投資と生産性の向上が必要だからです。

 

 日本にも驚異的なペースで経済成長を続けた時代がありました、高度経済成長期(19541974年)です。この時の日本は人口が増えていたのでしょうか。高度経済成長期の総人口の成長率は平均1.1倍(生産年齢人口の成長率は平均1.7倍)なのに対して、経済成長率(実質GDP成長率)は平均10%近かったというのです。人手不足でも経済成長できたのは、投資と生産性向上があったから成し遂げられたのです。もし生産年齢人口と経済成長に相関関係があるのであれば、生産性向上と投資が伴えば人手不足の現在であっても、会社は成長できるのではないでしょうか。

 

 弊社でも生産性向上のための投資を増やしています。あとは、一人一人の生産性をいかに向上出来るかにかかっていますので、今後皆さんへいい報告が出来るよう頑張りたいと思います。