税理士法人とどろき会計事務所
小川 友妃
先日、喫茶店でサンドイッチを注文したときのことです。渡してくれた店員さんの笑顔がとても素敵で印象的でした。そのあと食べたサンドイッチのアボカドがクレームレベルの硬さだったのですが、それも許せたほどの笑顔のチカラです。
この笑顔のチカラとはどこからきているのでしょう。
犬と赤ん坊を思い浮かべてみて下さい。犬は人の2~3歳程度の知能があると言われているにもかかわらず、笑うことはしません。一方人は0歳児であっても笑います。笑いと知能は直接の関係はないようです。
起源を辿ると、笑いには2種類あることに気が付きます。1つは、面白いことがあったときに思わずアハハと笑ってしまう笑い(ここでは「爆笑」と名付けます)。もう一つは「微笑み」です。
「爆笑」の起源は、200~400万年前に遡るとされており、実は人間以外の霊長類も人間の笑顔と似たような表情を作ります。じゃれ合ってキーキー鳴いているようなときの表情がこれにあたります。外部からの刺激によって誘発される笑いであり、ストレスを解消させる効果があります。いわば本能的なものです。
一方「微笑み」は自分の意思でコントロールするものです。起源は「威嚇」です。サルも笑っているように白い歯を見せることがありますが、これは威嚇の表情だそうです。ではどのようにして 威嚇が笑顔に進化したのでしょう。
威嚇された相手は、その恐ろしい表情にたじろぎ、遠ざかっていきます。すると威嚇していた方のサルは警戒を解いて、威嚇の表情を和らげます。相手はその表情の変化にホッとします。このときのホッとする感覚を威嚇された側のサルは記憶し、親近感を持つようになります。
サルは、歯を剥き出してから和らげることで、親愛の情を表現するという手法をおぼえ、表情豊かな人間へと進化していったわけです。
進化の過程を考えても「微笑み」とはとても人間的なものであることがわかります。相手とどうにかしてコミュニケーションを取りたいという気持ちの表れです。
普段無理に笑顔を作ろうとはしなくても、お客様や友人と居ると自然に笑顔になります。親密な関係になりたいと思うのだからこそ無意識に笑顔になるのでしょう。
何万年もかけて笑顔を進化させてくれた私たちの祖先に感謝するとともに、その笑顔を絶やさないような社会をこれからも作っていかなければならないと感じます。