温泉療法による健康保険・医療費控除

税理士法人とどろき会計事務所

佐々木晴明

 秋は紅葉と温泉の季節ですね。温泉街を散歩しながら、温泉を利用した病院や病気療養のため、長期滞在をしている利用者を相手とする宿(湯治宿)もみたことがありませんか? 漠然と理解していた温泉療法(湯治)について健康保険と医療費控除になるか整理してみようと思います。

1 湯治・民間治療(健康保険×医療費控除×)

湯治は、温泉地に数日間から数週間など比較的長い期間滞在し、特定の温泉に入浴を繰り返すことで、病気やけがの療養、または体調の改善や健康維持を図ることを目的とします。これは民間療法であり、保険適用も医療費控除の対象にも残念ながらなりません。ただこの湯治は「旅」という非日常的な体験を通じて、心身の健康増進、維持、回復、または疾病予防を図ることを主な目的とした観光として注目されています。では、健康保険または医療費控除の対象となる湯治(温泉治療)とはどのようなものでしょうか?

2 温泉病院(健康保険〇医療費控除〇)

 温泉病院という言葉はありませんが、今回便宜上このような名前を使います。

単に温泉がある場所にあるだけでなく、「温泉の医学的効能」を積極的に活用して、特にリハビリテーションや慢性疾患の長期療養に特化した医療を提供する施設です。それぞれの地域・病院ごとに、得意分野があるようで、医療保険(健康保険)・医療費控除の対象となります。いわゆる通常の病院としての機能と温泉療法とを組み合わせた医学的な治療を行うという施設になります。

3 湯治 「温泉利用型健康増進施設」(健康保険×医療費控除〇)

「温泉利用型健康増進施設」として厚生労働省に認定された施設で全国に22あります。ここでの療養に限り、要件を満たせば医療費控除の対象となります。*宿泊費は対象外なので厳密には湯治全てではありません。

要件詳細
① 医師の指示主治医または温泉療法医の診察を受け、「温泉療養指示書」を作成してもらうこと。
② 利用期間概ね1ヶ月以内に7日以上の利用が目安となる。
③ 控除対象費用当該施設の利用料金・常識的な手段による往復旅費が対象となる。
④ 対象外費用宿泊費、滞在中の食事代は原則として対象外。
⑤ 証明書の添付確定申告時に、旅費・利用料金の領収書を保存・医療費明細書に記載すること。

詳しくは「温泉利用型健康増進施設連絡会」までお問い合わせください。

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