ガソリン税の旧暫定税率廃止に伴う影響

税理士法人とどろき会計事務所

水野 馨

 現在、与野党でガソリン税の旧暫定税率廃止の動きが広まっています。

 仮にガソリン税の旧暫定税率が廃止となった場合、事業者にはどのような影響があるでしょうか。

1.ガソリン税の旧暫定税率と廃止の試算

 ガソリン税の旧暫定税率とは、ガソリン税の本来の税率が1リットル当たり28.7円に対し、それとは別に、1リットル当たり+25.1円の特例税率として上乗せされている税金です。1974年に道路財源の確保を目的として創設されました。

 仮に廃止となった場合、以下のような試算ができます。

項目現状旧暫定税率廃止(想定)
ガソリン本体価格約100円約100円
ガソリン税等(※)約56.6円約31.5円
消費税約15円約13円
合計約171円/L約144円/L

※石油石炭税・地球温暖化対策税含む

2.事業者への影響

 営業車やトラックを多く使用する業種では、1Lあたり25.1円の値下げとなった場合、大きなコスト削減につながります。例えば、年間10,000Lの使用で約25万1,000円の燃料費削減となります。また、運送・観光・農業・建設など、燃料費比率の高い業種では、暫定税率廃止が利益率改善に直結します。
 その他にも、燃料コストが抑えられることによって、物流などの輸送コスト減から、商品・サービス価格の安定が期待でき、物価高の抑制効果も見込まれます。


 このように旧暫定税率廃止は、短期的には事業者のコストを下げ、消費者にとっても物価高の抑制という恩恵を得るメリットがあります。

 一方で、税収減による道路などのインフラ整備の課題、ガソリン利用量が増えることによる環境負荷やそれによる省エネ産業の衰退などリスクなどもあるようです。

 早ければ年内にも決まるようですので、今後の政局に注目です。

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