税理士法人 とどろき会計事務所
新井 大慶
本年 10 月 1 日から始まるインボイス制度について、税負担や事務負担を軽減するための改正が予定されています。昨年公表されました令和5年度税制改正大綱で示された内容により、主なポイントをご案内します。
① 免税事業者から課税事業者への転換で税負担が軽減されます。
消費税の免税事業者がインボイス発行事業者となることにより課税事業者になった場合に、納税額を売上税額の2割にできる特例です。円滑に導入するための、3年間の期間限定優遇措置です。
対象者:令和5年10月1日以降新たに消費税の課税事業者となった事業者で、基準期間(前々年、前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下である等、免税事業者の要件を満たす事業者となります。
② 1万円未満の少額な支出はインボイスがなくても仕入税額控除が可能となります。
中小・小規模事業者における 1 万円未満の課税仕入れ(経費等)は、インボイスの保存がなくとも、 一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められるようになります。(令和5年10月1日より6年間、税込1万円未満の取引が対象)
対象者:基準期間の課税売上高が 1 億円以下、または、前年(前事業年度)の 6 ヶ月間の課税売上高 が 5,000 万円以下の事業者
③ 1万円未満の値引き・返品はインボイスの交付は不要となります。
値引きや返品、割戻しには返還インボイスの交付が必要ですが、1 万円未満の値引き等の場合には、この返還インボイスの交付が不要となります。振込手数料分の値引きも対象です。
④ 登録申請期限が緩和されました。
インボイス登録日を制度開始日の令和 5 年 10 月 1 日とするには、「令和 5 年 3 月末までの申請が原則。それ以降は事情の記載が必要」とされていましたが、4 月以降の申請でも令和 5 年 9 月 30 日までの申請であれば、この事情の記載も不要で制度開始日の登録に間に合うことが認められました。
当事務所では原則通りの期日の登録申請を推奨しております。制度開始日まで慌てることなく、事前に準備が進められるよう支援しておりますので、不明点等ございましたら是非担当者にお声掛け下さい。