Q. 支出のうちどこまでが経費として認められるのか教えてください。
経費として認められるのは、事業に要した支出です。
それぞれの支出が経費として認められるかどうかは、その支出が事業のため、ひいては事業の目的である収入を得るために使用したものかどうかが大きな判断材料となります。
(1)飲食をした場合
飲食に要した支出のうち事業に要したと認められるものは、交際費・会議費・福利厚生費などの科目で経費に算入することができます。
ただし、すべての飲食費が経費として認められるわけではありません。事業とプライベートを明確に区別し、目的に応じた適切な科目を選択する必要があります。
①交際費
交際費は事業の円滑な遂行、発展に要した支出をいいます。
飲食の場合、得意先・仕入先との接待や、知見を広げるため・情報を共有するための交友に利用した場合にこの科目を使用することとなります。
中小企業の場合、年間800万円を超える部分は課税の対象となります。
②会議費
社内で行われた会議や取引先との打ち合わせを行った際の支出は会議費となります。
なお、飲食のための費用の場合、参加した者一人当たりの金額が5,000円以下になる支出については会議費として計上することができます。
③福利厚生費
残業をしている従業員に食事を提供した場合のお弁当代などは福利厚生費となります。
食事代を福利厚生費として計上するには下記のような厳格な要件があるため注意が必要です。
- 従業員全員が対象であること。
- 従業員がその50%以上を負担し、会社の負担額は従業員一人当たり月額3,500円以内であること。
飲食費は、税務調査でも指摘が多い項目です。
飲食をした際は、相手方や目的、参加人数を帳簿に残すまたは領収書にメモ書きするなどいつでも説明が可能な状態で管理する事が有用です。
(2)事業とプライベート共用のものがある場合
① 賃借物件
事務所や店舗を第三者から賃借している場合、その賃借料は会社の経費として認められます。
一方で、役員が賃借している自宅の一部を事務所として使用している場合は、その賃借料の全額が経費となるわけではありません。
自宅のうち、事業に使用している割合を算出し賃借料を事務所部分と自宅部分とに按分する必要があります。
② 自動車
事業目的で使用している自動車にかかる費用は経費として認められます。
取得に要した支出のほか、駐車場代やガソリン代、自動車税などがそれにあたりますが、賃借物件同様、自動車をプライベートでも使用している場合は、事業に使用した割合によりこれらの費用を按分する必要があります。
役員や従業員が個人名義で賃借又は所有している物件や自動車は、たとえそれを事業に使用していたとしても経費として認められない場合があります。
新たに契約する際は法人名義で結ぶ、個人契約のものは法人名義に変更するなどの対策が必要です。