Q. 持分なし医療法人を第三者へ承継する方法について教えてください。
第三者承継の主な方法として、以下の4つがあります。
①退社入社方式
譲渡法人をそのまま存続させ、社員・理事・監事等を譲受側の人員に入れ替える方法です。一般的に、退社する譲渡者個人に対して支払う役員退職金等が実質的な承継対価となります。
②事業譲渡
譲渡者の事業用資産や負債を個々に売却する方法です。契約や許認可は引き継がれないため、譲受者側は契約や許認可手続きのやり直しが必要となります。
③合併
譲渡法人と譲受法人を1つの法人に統合する方法です。合併は医療法上の組織再編行為であり、都道府県知事の認可が必要となります。
④分割
譲渡法人の一部の事業の権利義務を譲受法人に承継する方法です。合併と同様に医療法上の組織再編行為に該当し、都道府県知事の認可が必要となります。分割は持分なし医療法人にのみ認められた方法です。
②~④については、医療法人の資産や法人格を失うのに対し、①は物の移転がありません。退社入社方式は、社員・理事・監事の地位の入れ替えという必要最低限の手続きで承継が完了するため、一般的にはこの方法が採用されます。
持分あり医療法人とは異なり、出資持分がないため、譲渡者は出資持分譲渡のように譲渡対価を直接受け取ることができません。実質的な承継対価の受け取り方法は、「役員退職金」「MS法人株式の売却」「基金返還」などがあります。