税理士法人とどろき会計事務所
河内 智哉
確定拠出年金について、今年の通常国会で法改正があり、来年1月以降、確定拠出年金のうち「個人型確定拠出年金」の加入者の範囲が拡大されることになりました。
「個人型確定拠出年金」は、基礎年金や厚生年金保険などの公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金の一種です。「個人型確定拠出年金」の加入者は、これまで自営業者等や企業年金等に加入していない方に限定されていましたが、来年1月以降は基本的にすべての方が加入できるようになります。これにより、企業年金を実施している企業に勤めている方、公務員、専業主婦の方なども、「個人型確定拠出年金」に新たに加入できるようになります。
「個人型確定拠出年金」は平成13年10月に導入され、加入者は今年4月末現在で26.2万人です。対前年比約20%増で、ここ4~5年で加入者が倍増しています。
「個人型確定拠出年金」は、加入者が掛金を定めて拠出し、自ら運用して、その掛金と運用益との合計額を基に将来の給付額が決定されるものです。その拠出限度額は、下記の通りになります。
自営業者等…年額816,000円(月額68,000円)
企業年金等に加入していない方や専業主婦等…年額276,000円(月額23,000円)
企業年金等に加入している方のうち、企業型確定拠出年金にのみ加入している方…年額240,000円(月額20,000円)
企業年金等に加入している方のうち③以外の方や、公務員・私学共済に加入している方…年額144,000円(月額12,000円)
これらの拠出額は、小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除の対象となります。また、運用益は一般の金融商品と異なり、税金はかかりません。
今後、間口が広がる「個人型確定拠出年金」の一方で、「個人年金保険」は日銀のマイナス金利政策の導入に伴い、販売停止や保険料の引き上げが行われています。「個人年金保険」は、民間の生命保険会社に保険料を支払い、将来その保険会社から年金を受け取るというものです。支払保険料は、生命保険料控除として所得控除の対象となります。将来の年金受取額が支払保険料総額の120%程度になる貯蓄性の高い商品もありますが、徐々に商品が見直されています。
今年4月分からの基礎年金額は満額で780,100円です。老後の生活保障の一つとして、「個人型確定拠出年金」や「個人年金保険」を検討してみてはいかがでしょうか。