税理士法人とどろき会計事務所
千葉 雅司
「ブロックチェーン」、年末年始にかけて、その技術を利用した仮想通貨バブルとその後の急落によって、今まで関わりの無かった方々も見聞きする機会が急激に増えたのではないでしょうか。
仮想通貨のイメージが強く、自分たちにはあまり関係がなさそうだと考えている方もいるかもしれませんが、ブロックチェーンは仮想通貨や金融取引のためのインフラだけでなく、実は各分野での活用が見込まれています。
ブロックチェーンとは、分散型のネットワークシステムで、特定の管理者は存在しません。ブロックチェーンの特徴は、改ざんできない、ダウンしない、低コストの3点です。
インフラ、サービス提供者や消費者、それぞれが同じ台帳を持ち、その台帳は悪意を持った人間からも改ざんされず、システムがダウンすることもなく、現状のシステムに比べ非常に安く運用できるといわれています。さらにスマートコントラクトというプログラムを活用することで、あらゆるものの自動化の実現が期待されています。
そのため、ブロックチェーンを利用することにより、様々な取引について、仲介者、管理者に高額な対価を支払うことが不要となり、個人と個人の取引(CtoC)が安価で安全、かつスピーディーにできるようになると期待されています。
また、その特徴を活用した企業の研究開発も進んでおり、とりわけ自動車業界に顕著です。
現在話題の電気自動車、自動車シェア、自動運転、これらすべてにブロックチェーン技術が関わっています。
既にトヨタは、ブロックチェーンを活用したサービス開発として、運転関連データの台帳基盤構築を進めており、自動運転技術開発に利用、また実際の運転データに基づき保険料率が変動する保険を開発しているといわれています。
さらに、カーシェアリングサービス開発として、運営コストの高いUBERに代わる、個人同士あるいは車-個人間で直接つながるカーシェアサービスを視野に入れているといいます。
自動車部品サプライヤのZFは、ブロックチェーン技術を活用した自動車用電子決済プラットフォームを発表しています。駐車場や有料道路、カーシェアリング、給油や充電、などの電子決済だけでなく、車が自分でガソリンスタンドに行ったり、充電したりして、人間が介在することなく支払まで済ませてしまうシステムです。
このように、ブロックチェーンにより自動車業界は大きく変わる可能性があり、その周辺業務に従事される方々もそれを前提とした変化が必要になっています。
自動車業界を例にとりましたが、ブロックチェーンはあらゆる分野の業界に影響を与えうる技術と言われています。
また、うまく利用すれば、以前と同じシステム、業務を劇的に安価に再構築できる可能性も秘めており、個人や小規模企業でも参入が可能になる分野が増え、その点からは大きなチャンスの可能性があります。
まだまだ課題も多い技術で、今後の流れは正直読めませんが、今後続々と出てくるであろう、ブロックチェーン活用の技術・サービスについてリサーチは怠れないな、と考えております。