税理士法人とどろき会計事務所
千葉 雅司
来年1月より「電子帳簿保存法」が改正されます。これは、請求書や契約書、領収書などの国税に関連する帳簿類・証憑類を電子で保存するための法律です。
変更点は、極めてざっくりいってしまうと下記の3つのイメージです。
① 税務調査にも必要な総勘定元帳や財務諸表をデータで保存しやすくなる。
② 紙をスキャンして保存しやすくなる。
③ データで受け取ったものはデータで保存しなければならない。
①と②は、できる規定。手間がかかるようであればやらなくてもよいものです。
しかしながら、③だけは、「しなければいけない」、義務規定です。
来年1月以降データで受け取ったものはデータで保存、プリントアウトして保存してはダメということです。これは個人法人、規模大小を問わず適用されます。
請求書を例にとってみますと、現状、受け取る請求書の中には、メールで受領するPDFファイルや、ウェブサイト上にアップロードされた「電子請求書」もあるのではないでしょうか。それらが無くても、例えばアマゾンでネット購入すれば、紙の請求書は発行されませんからこれも該当してきます。そう考えると結構該当される方は多いと思います。
それでは、電子データをどのように保存しておけばよいのでしょうか。
電子取引の取引情報を保存するに当たっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります。具体的要件や方法はいくつかあるのですが、最低限の方法の一例としてご案内している内容は以下の通りです。
・データのファイル名を、日付、取引相手先、金額の3種類で検索できるようにして保存。
例)2022年1月31日に株式会社轟商事から受領した550,000円の請求書
⇒「20220131_㈱轟商事_550,000」
・任意のフォルダ(税務職員に閲覧されても支障がないような)に格納して保存。
・一定の事務処理規程を作成して備え付ける。
※国税庁のサイトからひな型がダウンロードできますのでそれを加工します。
それでは、これに対応できないとどうなるのでしょうか。今回の改正では、主な罰則として2点が謳われています。「不正があった場合は重加算税が10%加重となる」「青色申告の取り消し対象となり得る」です。どちらも実際の適用にあたっては、電子保存がされていないことだけによって適用することはない、と国税庁のHPに明示されましたが、法律で定められている限り、いずれ罰則も厳しくなってくると捉えておいたほうが良いと思います。
詳細につきましては、各担当者よりご案内を差し上げますので、今後のペーパレス化の時代の流れも踏まえ、ご相談いただき、ご検討を進めていただければと思います。