
税理士法人とどろき会計事務所
石沢 緋奈乃
4月となり新年度が始まりました。この4月から従業員への昇給を考える企業は多いのではないでしょうか。
2024年春頃には、大企業を中心として高い賃上げが実現しました。しかし、全労働者が均等にその恩恵を受けているのか、また生活面での物価上昇も重なり、実質賃金の改善は依然として課題となっています。所得税や社会保険料は、賃金が上がると比例して増えるため、賃金アップの効果が実質的に薄れる傾向にあります。特に所得税については超過累進課税を採用しており、高所得者ほど税負担が重くなるため、賃上げされても、金額によっては手取額が増えず、生活の質が大きく変わらない場合もあります。
このようなことから、国は企業が積極的に従業員の賃金を引き上げた場合、賃上げ分を税額控除として認める制度や、賃上げに積極的な企業に対して減税を行う施策が導入されています。
税制優遇措置は、特に中小企業にとって賃金引き上げの一助となることが期待されています。高い賃上げを行うことで、従業員にとっても企業にとってもプラスになります。
特に、医療機関は昨年より「ベースアップ評価料」という制度がスタートしました。ベースアップ評価料とは、2024年度の診療報酬改定で新設された医療機関で働く医療従事者の賃上げを目的とした評価制度です。
医療機関は、診療報酬に「ベースアップ評価料」を加算することで、賃上げの原資を確保することができ、加算された診療報酬は、対象となる従業員の基本給や毎月の手当に反映されます。
しかしながら、申請手続きの煩雑さ・実績報告書の作成など事務手続きの手間などから、東京都においては、2024年8月時点で届出をしている医療機関は約25%にとどまっているという情報もあります。
2025年3月にベースアップ評価料の届出を申請している医療機関を対象とした、業務改善に係る設備や備品の購入に対して補助金の支給を行う支援制度も出てきました。
今後もベースアップ評価料を採用している医療機関にはこういった支援制度が活用できる可能性があります。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。