相続関係38年ぶり民法改正

税理士法人とどろき会計事務所

橋本 崇浩

 

平成30年7月6日、相続に関する民法の見直し案が通常国会で可決・成立しました。相続に関する民法の大きな改正は1980年以来38年ぶりとなります。

今回の改正の主な目的は、「残された配偶者への優遇(老後生活の安定)」になっておりますが、いくつかの新たな権利などが創設されており、今後の相続に関して大きな影響が出るケースも考えられますので、簡単にポイントを挙げてみたいと思います。

 

①配偶者居住権の創設

住宅の権利を「所有権」と「居住権」に分割し、一定の要件のもと配偶者が居住権を取得すれば、所有権がなくても自宅に 住み続けることができます。 また「配偶者短期居住権」も設けられました。

②婚姻20年以上の配偶者への自宅贈与等の保護

結婚20年以上の夫婦であれば、配偶者が生前贈与や遺言で譲り受けた住居は「遺産とみなさない」という意思表示があったとして、遺産分割の計算対象から除外します。

③遺産分割前の遺産の範囲の見直し

被相続人の預貯金を使い込んでも遺産とみなして、訴訟→家庭裁判所事案になります。

④預貯金の仮払い制度

遺産分割協議が終わる前でも、生活費や葬儀費用の支払いなどのために故人の預貯金を金融機関から引き出しやすくする「仮払制度」を創設しました。

⑤遺留分制度の見直し 

遺言等で財産を得た相続人に対し、最低限の取り分を金銭請求可能に。

⑥自筆証書遺言の方式緩和 

財産目録部分のパソコン作成が可能になり、法務局での保管制度も新設されました。

⑦相続人以外の介護者への特別の寄与

被相続人を生前無償で療養看護した親族が、相続人に対して金銭を請求できるようになります(特別寄与料)。

 

これらの改正ポイントについて、居住権の評価方法など、まだ明確になっていない部分もありますので、事務所職員全体で随時追いかけながら、皆様と様々な対策を行っていければと思います。

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