税理士法人とどろき会計事務所
井上 恭輔
平成30年11月14日の日本経済新聞に「屋台のベンチで食べるケバブは?」という記事が掲載されていました。これは、平成31年10月から消費税率が10%に引き上げられることに合わせて導入される軽減税率の疑問について書かれた記事です。会社の近くの屋台で昼食用にケバブを買い、会社には戻らず屋台のベンチで食べる場合の消費税率は10%か、それとも8%か?という問いに対して、「外食」と同じ扱いになるので10%の税率が適用されるとの答えが書いてありますが、なにをもって「外食」と判断されるのでしょうか。
平成31年10月から税率が10%に増税されるとともに、飲食料品と新聞には8%の軽減税率が適用されることとなった消費税ですが、国税庁から公表されている「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」で、上記のような屋台の事例についても触れられています。「外食」に該当すれば税率は10%になりますが、なにをもって「外食」と判断されるのか。国税庁が公表しているQ&Aでは具体的に下記のようなこととされています。
屋台を営む事業者が、
① 自らテーブル、椅子、カウンター等を設置している場合
② 自ら設置はしていないが、例えば、設備設置者から使用許可等を受けている場合
は「外食」とされ、税率は10%となります。
一方、
③ テーブル、椅子、カウンター等がない場合
④ テーブル、椅子、カウンター等はあるが、例えば、公園などの公共のベンチ等で特段の使用許可等をとっておらず、顧客が使用することもあるがその他の者も自由に使用している場合
は「外食」とされず、軽減税率の8%の適用対象ということです。Q&Aでは屋台以外にも、コンビニのイートインや、飲食店で残りを持ち帰る場合、旅客列車での移動ワゴン販売等の事例が紹介されていますので、ご自身の事業に関係することがないか一度確認されることをお勧めします。
消費税の軽減税率の導入に伴い、平成35年10月からは「インボイス制度」を導入することも決定しています。これらのことからも今後の消費税実務が大変複雑になるものと予想されます。軽減税率やインボイス制度への対応は一朝一夕にできるものではありませんので、今のうちから徐々に準備することをお勧めします。