
税理士法人とどろき会計事務所
松橋 良介
今回は、居住用分譲マンションの相続、贈与、遺贈による評価について取り上げます。
これまで、タワーマンションの相続等があった場合の評価額は時価と比べ著しく低くなるケースが多くあったため、それを節税目的として購入し、納税額を減らすという手法が散見されていました。そこで、課税の公平性の観点より、この過度な節税対策として評価方法が見直され、令和6年1月1日以後に取得した分譲マンションの評価額は新たな方法で計算することとなりました。
【概要】
・居住用の区分所有財産、1室の区分所有権等
区分所有権(家屋)及び敷地利用権(土地)
【計算式】
・評価額 = ①区分所有権の評価額 + ②敷地利用権の評価額
- 以前の区分所有権(家屋)の評価額 × 区分所有補正率
- 以前の敷地利用権(土地)の評価額 × 区分所有補正率
区分所有補正率=評価乖離率×0.6もしくは評価乖離率もしくは補正なし
・評価乖離率 = A + B + C + D +3.220
A:建物の築年数 × △0.033
B:総階数 ÷ 33 × 0.239
C:所在階 × 0.018
D:敷地利用権の面積 ÷ 専有部分の面積 × △1.195
・評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率
評価水準が0.6より少ない場合 :区分所有補正率は評価乖離率×0.6
評価水準が0.6以上1以下の場合:区分所有補正率は補正なし=従来の評価額
評価水準が1より大きい場合 :区分所有補正率は評価乖離率
すなわち、乖離が大きければ新たな計算式で評価算出するということになります。
タワーマンションと聞くと20階建てなど高層階をイメージしてしまいますが、居住用の分譲マンションという定義ですから、何階建てでも原則上記の計算方法で算出する必要があります。
評価算出は容易ではありません。ご不明な点がございましたらお気軽にお問合せください。