企業版ふるさと納税について

税理士法人とどろき会計事務所

橋本 崇浩

 企業版ふるさと納税とは、地方創生のための取り組みで、正式には「地方創生応援税制」といいます。国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して、企業が寄附を行った場合に法人税額等から税額控除ができる制度であり、平成28年にスタートしています。個人のふるさと納税とは異なり返礼品が届くというものはなく、税の軽減効果も最大6割であったことから、認知はされつつあったものの大きな広がりとまでは進んでいませんでした。

 令和2年度税制改正で、最大6割であった税の軽減効果が最大で約9割まで引き上げられました。これにより実質的な企業負担が約1割となり、活用のメリットが大きくなったことから再注目されました。さらに、近年のSDGsやESG投資への関心の高まりも重なり、内閣府資料によると、令和3年度の企業版ふるさと納税の寄附実績は、金額と件数ともに前年度比約2倍となり、取り組む企業が大きく増えたことがわかります。

 企業版ふるさと納税を活用するメリット

  • 地方公共団体のホームページや広報、寄附事業で整備された施設の銘板に社名が記載されることもあり企業のPRになり得ます。
  • 企業版ふるさと納税を通じて、地域が抱える様々な社会課題、例えば環境保全や人材育成、まちづくりなどを支援することで、企業としての社会貢献が可能となります。また、地方創生プロジェクトにはSDGsやESGに寄与するものもあります。
  • 被災地の復興に直接的に大きな支援が行えたり、創業地や縁のある地へ恩返ししたりすることができます。

 先日、私が関与させていただいているお客様でもこの制度を利用し、自治体に多額の寄附をされ税額控除を受けられました。計算すると実際の軽減効果は70数%(地方税など税目ごとに限度額があり必ず9割になるわけではありません)ではありましたが、目的に沿った寄附が行えたことで、お客様の目的が果たせたとともに税メリットも得ることができました。これからも当制度は少しずつ広がっていくと考えられますので、ご興味のある方は各担当者にご確認いただくとともに、企業版ふるさと納税ポータルサイト(内閣官房・内閣府総合サイト)よりご確認いただければと思います。

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