ペーパーレス化の動き

税理士法人とどろき会計事務所

古川 美陽光

 

 『みずほ銀行は18日以降に普通預金や定期預金の口座を開設した顧客から、1冊につき1,100円(税込み)の通帳発行手数料を徴収する。記帳で余白がなくなり、追加発行を受ける際にも同額の手数料が生じる。』1月17日の日経新聞に載っていた記事です。

 私は、みずほ銀行をメイン口座としており、ネットバンキングも登録していますが、残高把握は通帳で確認することが多く、定期的に記帳をしているので思わず目に留まりました。今までは無料で使えることが当たり前だった通帳ですが、実際にはコストとして紙代や印刷代のみならず、1口座につき年間200円の印紙税を金融機関が負担しているようで、銀行界の負担額は印紙税だけで年間700億円規模にまでなるそうです。

 みずほ銀行では、既に口座を持っている人や70歳以上の方は対象外などの規定はあるようですが、デジタル化(ペーパーレス化)の方向に向かっていることには間違いありません。

 

 紙の使用は費用負担のみならず、保管にあたり物理的な場所も必要となります。皆様の中にも「過去の書類保管が大変だなぁ。」と感じられている方は多いのではないでしょうか。実際に「そろそろ邪魔だから過去の書類は捨てたいんだよね…。」といった声を耳にします。業種によっても書類の量は様々かと思いますが、7年間(最大10年間)の保管義務はとても大変だと思います。

 

 税務についてのペーパーレス化の動きについてですが、令和3年度の税制改正大綱に電子化(ペーパーレス化)に関連する改正が盛り込まれていましたので紹介します。

 これまでは、電子保存の導入3ヶ月前までに税務署への承認申請をする必要があり、承認を受けた後も第三者による定期検査が必要となり、定期検査を受けた後でなければ紙の原本を破棄することができないなど、厳しい要件が設けられていた背景もあり導入している企業が少なかったのが現状です。

 今回の税制改正大綱では要件が大幅に緩和され、税務署への事前承認も第三者による定期検査も不要となり、タイムスタンプの付与期間も最長2ヶ月までに緩和されました。ただし、不正に対してのペナルティは重くなり、隠蔽・仮装・データの改ざんが発覚した場合には、重加算税が通常の率に10%加重されるようになっています。

 

 現状では令和4年1月1日からの施行予定なので、少し先の話にはなりますが、税務においてもペーパーレス化への動きが高まっていることを感じています。ご興味のある方は担当者へご相談ください。

 

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