「 29期連続で増収営業増益を続けるドンキHD。同社の強さでよく指摘されるのは、独特の売り場づくりだ。店に入ると、天井近くまで並べられた商品の多さに圧倒される。「圧縮陳列」と呼ばれるその演出は、顧客に宝探しをしているようなワクワク感を与える。1回の来店では全てを見切れないため、もう一度訪れたいという飢餓感が沸く。ディズニーランドと同じ戦略だ。
ただ、売り場の現象面ばかりに目を奪われていると本質を見誤る。本当の強さは人材マネジメントにある。同社の現場は通常の小売りと比較にならないほど、権限委譲が進んでいる。仕入れから、値段の設定、売り場の演出に至るまで、入社間もない社員であっても、意思決定の大半を任せる。
狙いは現場の自覚を促すことだ。本部が仕入れた商品だと、売れない時に言い訳ができる。そもそも圧縮陳列は手間がかかる。ドンキ特有の手作りのPOP広告を作るのも大変だ。自分で仕入れたからこそ、納得して汗がかける。
この仕組みの根幹をなすのが徹底した実力主義だ。個人の成績は数値化され、売り場同士で比較される。結果は昇格や年収の判断材料となる。
覚悟を決めて現場に任せ、結果を問う。人間の持つ競争心を駆り立て、そのパワーを売り場に向かわせるのがドンキ流だ。
演出方法は他社から研究し尽くされている。それでも追随できないのは、本部主導のチェーンストアの仕組みに慣れた小売業では、大胆な権限委譲に踏み出しにくいからだろう。 」
( 上記は、日経ビジネス2018年10月29日号「ドンキがユニーをのみ込む理由」 )
上記は、今、のっているドンキHD。ちょっと長くなりましたが、覚悟を決めて現場に任せ(権限委譲)は、さすがです。なかなかドンキ流はできません。
権限委譲は重要です。でも、多くの会社は権限委譲といいながら実際は権限を委譲していません。「権限委譲」について再考する時かも知れません。