
税理士法人とどろき会計事務所
田井中 遥
令和6年12月に国税庁より発表された「令和5年分 相続税の申告事績の概要」によると、令和5年分における被相続人数(死亡者数)は1,576,016人、うち相続税の申告が必要となった被相続人数が155,740人となっており、課税割合は9.9%の過去最高値となっていました。(東京都単体の課税割合は18.9%)
今回、ご相続後に相続財産を売却する際に利用できる税制上の特例について、代表的なものをご紹介させていただきます。
詳細な要件等についてご興味のあるものがございましたら、担当者までご相談ください。
1.相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに、相続税が課税された土地、建物、株式などの財産を譲渡した場合、課税された相続税のうち一定額を取得費に加算して、売却益の計算上差し引くことができます。
2.マイホームを売ったときの特例
ご自身の居住用であるマイホーム(居住用財産)を売却した場合、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除することができます。
3.被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(令和9年12月31日まで)
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住用財産(空き家)を一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円(一定の場合には2,000万円)を控除することができます。
【対象となる居住用財産(空き家)】
イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいないこと。
4.相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合の課税の特例
相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに、個人が所有する非上場株式をその発行会社に譲渡した場合、売却益に対して課される税率が20.315%となります。
※通常、譲渡対価のうち資本金の払い戻しとなる部分を除いた金額は、他の所得と合算して、最高約55%の税率で税金が課されます。